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身体の特定の部分を触ると痛いと感じることはありませんか?ぶつけた覚えもないのに、なぜか肌や筋肉が敏感になっている、あるいは、指で押すとズキンと痛みが走る。このような痛みは、日常生活に小さな不快感をもたらすだけでなく、時には潜在的な健康問題のサインである可能性もあります。単なる筋肉痛だと思っていても、実は神経の炎症や内臓の不調が関係していることも少なくありません。本記事では、身体を触ると痛いと感じる様々な原因を掘り下げ、それぞれの状況に応じた効果的な対処法、そして専門家への相談のタイミングについて詳しく解説します。あなたの身体が発するSOSを見逃さず、適切なケアで快適な毎日を取り戻しましょう。
身体が触ると痛いのはなぜ?考えられる主な原因
身体を触ると痛いと感じる原因は多岐にわたりますが、大きく分けて「皮膚・筋肉・骨格系の問題」「神経系の問題」「内臓の関連痛」の3つが考えられます。
まず、最も一般的なのは、皮膚や筋肉、骨格系の問題です。打撲や捻挫といった明らかな外傷がなくても、長時間のデスクワークや不自然な姿勢、運動不足、または過度な運動によって、筋肉が硬直し、しこり(トリガーポイント)が生じることがあります。これらは触ると強い痛みを伴うことがあります。また、関節炎や腱鞘炎といった炎症も、触れた際の痛みの原因となります。
次に、神経系の問題です。神経が圧迫されたり、炎症を起こしたりすると、皮膚表面に痛みを感じることがあります。これは「神経痛」と呼ばれ、触るとピリピリとしたり、ズキズキとしたりする特徴があります。帯状疱疹後神経痛のように、皮膚に発疹を伴う場合もありますが、発疹がないのに触ると痛いというケースもあります。
そして、見落とされがちなのが内臓の関連痛です。内臓の不調や疾患が原因で、その内臓とは異なる場所の皮膚や筋肉に痛みを感じることがあります。例えば、肝臓の不調が右肩や首に、胃の不調が背中に痛みを引き起こすといった具合です。この場合、触れた際の痛みが単なる筋肉の問題ではない可能性を考慮する必要があります。
筋肉・筋膜の痛み:トリガーポイントとセルフケア
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身体を触ると痛いと感じる原因として非常に多いのが、筋肉や筋膜の問題、特にトリガーポイントの存在です。トリガーポイントとは、筋肉内にできた非常に硬いしこりのことで、押すと強い痛みを伴い、時にはその場所から離れた場所にも関連痛を引き起こすことがあります。姿勢の悪さ、長時間の同一姿勢、運動不足、ストレスなどが原因で発生しやすくなります。
セルフケアのポイント:
- ストレッチ: 痛む部分の筋肉をゆっくりと伸ばし、柔軟性を高めます。特に、痛みのある筋肉と拮抗する筋肉(例:首が痛いなら、肩甲骨周りや胸のストレッチ)も同時に伸ばすと効果的です。
- マッサージ: テニスボールやゴルフボールなどを使い、痛む部分やその周辺を優しく圧迫してマッサージします。ただし、強く押しすぎると逆効果になることもあるので、心地よいと感じる程度の力加減で行いましょう。
- 温める: 蒸しタオルやお風呂などで温めることで、血行が促進され、筋肉の緊張が和らぎます。
- 適度な運動: 軽いウォーキングや水中運動など、無理のない範囲で身体を動かすことで、全身の血行が良くなり、筋肉の硬直を防ぐことができます。
- 姿勢の改善: 日常生活での姿勢を見直し、猫背や反り腰にならないよう意識することで、特定の筋肉への負担を減らすことができます。
これらのセルフケアで改善が見られない場合や、痛みが悪化する場合は、専門家(理学療法士、整体師、鍼灸師など)に相談することを検討しましょう。
神経の痛み:原因と神経痛の種類
身体を触ると痛い原因が神経にある場合、その痛みは特徴的な性質を持つことがあります。神経痛は、神経そのものが圧迫されたり、炎症を起こしたり、損傷したりすることで発生します。
主な神経痛の種類と原因:
- 帯状疱疹後神経痛: 帯状疱疹の治癒後も、ウイルスによって損傷を受けた神経が原因で痛みが残ることがあります。触ると電気が走るような痛みや、ピリピリとしたしびれるような痛みが特徴で、皮膚は非常に敏感になります。
- 坐骨神経痛: 腰から足にかけて走る坐骨神経が圧迫されることで生じる痛みです。腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などが原因となることが多く、お尻や太ももの裏、ふくらはぎにかけて、触ると痛い、しびれる、感覚が鈍いといった症状が出ます。
- 肋間神経痛: 肋骨に沿って走る神経が圧迫されたり、炎症を起こしたりすることで、胸や背中の片側に痛みが生じます。深呼吸やくしゃみで痛みが強まることもあり、触ると電撃痛を感じることがあります。
- 三叉神経痛: 顔面の感覚を司る三叉神経に異常が生じることで、顔面に激しい痛みが走ります。触る、会話する、食事をするなどの軽い刺激でも激痛が誘発されることがあります。
神経の痛みは、セルフケアだけでは改善が難しい場合が多く、専門医による診断と治療が必要です。神経痛が疑われる場合は、神経内科や整形外科を受診しましょう。
内臓の関連痛:見逃されがちなサイン
身体を触ると痛いと感じる場所が、実はその部分の筋肉や皮膚の問題ではなく、離れた位置にある内臓の不調と関連していることがあります。これを関連痛と呼びます。内臓に問題がある場合、その痛みは特定の神経経路を通じて、体表の異なる部位に投影されるため、見逃されがちです。
関連痛の例:
- 心臓: 心筋梗塞などの場合、左腕や肩、顎、背中などに痛みが放散することがあります。触ると痛いというよりも、ズキズキとした深い痛みが特徴です。
- 胃・十二指腸: 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の場合、みぞおちだけでなく、背中の同じ高さの箇所や左肩に痛みを感じることがあります。触ると胃のあたりが張って痛むこともあります。
- 肝臓・胆嚢: 右上腹部の肝臓や胆嚢の異常は、右肩や右の肩甲骨の下あたりに痛みを引き起こすことがあります。
- 腎臓・尿管: 腎臓結石や尿路感染症の場合、わき腹や背中の下部に強い痛みが現れ、触ると圧痛があることもあります。
- 膵臓: 膵炎などでは、上腹部から背中にかけての強い痛みが特徴で、触ると圧痛を感じることがあります。
関連痛は、その痛みがある場所の治療だけでは根本的な解決にはなりません。もし、触ると痛い場所だけでなく、他に体調の変化(発熱、倦怠感、消化器症状など)がある場合は、内臓の病気を疑い、内科などの専門医を受診することが非常に重要です。
専門家への相談:受診の目安と治療法
身体を触ると痛い症状が続く場合、自己判断せず専門家への相談が不可欠です。以下のような場合は、医療機関を受診する目安となります。
- 痛みが2週間以上続く、または悪化している:セルフケアで改善が見られない場合や、痛みが徐々に強まっている場合は、専門医の診断が必要です。
- 発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状を伴う:内臓の病気や炎症の可能性が考えられます。
- しびれや麻痺がある:神経の圧迫や損傷が進行している可能性があり、早期の診断と治療が必要です。
- 痛む場所が移動する、または広がっていく:疾患の進行や、複数の原因が絡んでいる可能性も考えられます。
- 原因が分からず、日常生活に支障をきたしている:痛みが日常生活に支障をきたすほどであれば、我慢せずに受診しましょう。
考えられる受診先と治療法:
- 整形外科: 筋肉、骨、関節、神経(脊椎関連)の痛みが疑われる場合。X線、MRIなどで診断し、薬物療法、理学療法、注射、場合によっては手術が検討されます。
- 皮膚科: 皮膚の表面的な痛みや、帯状疱疹などの皮膚疾患が原因の場合。塗り薬や飲み薬による治療が行われます。
- 内科: 内臓の関連痛が疑われる場合。血液検査、超音波検査などで内臓の状態を確認し、原因疾患の治療を行います。
- 神経内科: 神経そのものの疾患(神経痛など)が疑われる場合。神経伝導検査などで診断し、神経障害性疼痛に対する薬物療法などが行われます。
- ペインクリニック: 痛みの専門外来です。原因が特定しにくい痛みや、複数の要因が絡む痛みに対し、ブロック注射や薬物療法など、様々なアプローチで痛みをコントロールします。
まとめ
身体を触ると痛いのは、筋肉・骨格、神経、内臓の関連痛が主な原因です。筋肉の痛みにはストレッチやマッサージが有効ですが、神経痛や関連痛は専門医の診断が必要です。2週間以上続く痛み、しびれ、発熱などを伴う場合は、整形外科、内科、皮膚科、神経内科、ペインクリニックなど、適切な医療機関を早めに受診しましょう。自己判断せず、専門家の助けを借りることが重要です。
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